古文の定期テストや大学受験において、古典文学の代名詞とも言える清少納言の『枕草子』は頻出の分野です。中でも『二月つごもりごろに』の段は、初春の寒暖差や自然の描写が鮮やかに描かれているだけでなく、助動詞の識別、敬語の種類、係り結びの法則など、文法事項の重要ポイントが凝縮された名作として知られています。
本記事では、この『二月つごもりごろに』の原文と一文ずつの正確な現代語訳をはじめ、詳細な品詞分解、テストで狙われやすい助動詞「む・らむ・じ」、敬語の方向、さらには白居易の漢詩「南秦雪」との深い関係性や定期テストの予想問題まで、網羅的に分かりやすく解説します。
【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:『二月つごもりごろに』は、初春の冷え込む日中と雪景色、そして清少納言の知的な感性が光る『枕草子』の代表的な一節。
- 要点2:文法面では、助動詞(む・らむ・じ)、謙譲語・尊敬語の敬意の方向、係り結び(ぞ~連体形)のルールがテストに頻出。
- 要点3:白居易の漢詩「南秦雪」の踏まえ方や、定期テスト対策として直結する予想問題を解くことで高得点が狙える。
枕草子『二月つごもりごろに』の原文と一文ごとの全文現代語訳

まずは、学習の基本となる『二月つごもりごろに』の原文と、それぞれの現代語訳を対比しながら確認していきましょう。物語の情景を頭に思い浮かべることが、古文読解の第一歩となります。
【原文】
二月つごもりごろに、風いたう吹きて、空いみじう黒きに、雪などいともの恐ろしく降りたるに、物書きなどして候ふほどに、
【現代語訳】
二月の末の頃に、風がひどく吹いて、空がたいそう黒っぽくなっているところに、雪などがたいそうもの恐ろしく降っているときに、天皇の御前で文字を書くことなどをしてお仕えしているうちに、
【原文】
「この雪いかに」と、上より御格子まゐらせて、御覧じずるこそ、いみじう心にくし。
【現代語訳】
「この雪はどうであるか(どうだろうか)」と、中宮様(中宮定子)が上(中宮様ご自身または上のほう)から御格子をおろさせなさって、ご覧になるのは、たいそう奥ゆかしく素晴らしい。
詳細な品詞分解:主要な文法要素を完全マスター
古文の定期テストで最も配点が高いのが「品詞分解」および「文法項目の識別」です。ここでは、『二月つごもりごろに』の冒頭から中盤にかけての主要なフレーズを細かく品詞分解し、それぞれの構造を紐解きます。
| 古文のフレーズ | 品詞分解(単語ごとの分解と品詞名) | 文法上のポイント・解説 |
|---|---|---|
| 二月つごもりごろに | 二月(名詞)+つごもり(名詞)+ごろ(名詞)+に(格助詞) | 「つごもり」は「月の末(月末)」の意。時を表す格助詞「に」。 |
| 風いたう吹きて | 風(名詞)+いたう(ク活用形容詞「いたし」の連用形・ウ音便)+吹きて(カ行四段動詞「吹く」の連用形+接続助詞「て」) | 「いたく」が「いたう」に変化するウ音便に注意。 |
| 空いみじう黒きに | 空(名詞)+いみじう(ク活用形容詞「いみじ」の連用形・ウ音便)+黒き(ク活用形容詞「黒し」の連体形)+に(接続助詞) | 「に」は順接・逆接などの接続助詞。「~のに」の意味。 |
| 御格子まゐらせて | 御格子(名詞)+まゐらせて(サ行下二段動詞「まゐらす」の連用形+接続助詞「て」) | 謙譲語の補助動詞、または使役の意味を含む表現。 |
このように、単語の区切りだけでなく、形容詞のウ音便(いたく→いたう)や助詞の働きを正確に把握しておくことが、試験での失点を防ぐ鍵となります。
助動詞「む・らむ・じ」と係り結びの文法徹底攻略
古典文法で外せないのが、助動詞の活用と意味、そして係り結びの法則です。『二月つごもりごろに』の周辺やテストで問われやすい文法事項を整理します。
1. 助動詞「む」「らむ」「じ」の識別と意味
* む(推量・意志・婉曲・仮定・勧誘・適当): 未然形につく助動詞。文脈に応じて意味を判断します。「この雪いかに」の文脈では、状況の推量や問いかけのニュアンスを含みます。
* らむ(現在推量・原因推量): 連体形につく助動詞。「今頃どうしているだろうか(現在推量)」「どうして降っているのだろう(原因推量)」といった、現在の事柄に対する推量を表します。
* じ(打消推量・打消意志): 未然形につく助動詞。「~まい」「~ないだろう」という意味になり、自分の意志や推量を打ち消します。
2. 定期テスト頻出の「係り結び」
文中に「ぞ」「なむ」「や」「か」などの係助詞がある場合、文末の述語が連体形に変化するルール(係り結び)が適用されます。本文中の表現や類似の古文問題が出題された際、「どの語がどの述語と呼応しているか」を素早く見抜けるように練習しておきましょう。
敬語の種類と敬意の方向(尊敬・謙譲・丁寧)
清少納言が仕えた中宮定子とのやり取りが描かれる『枕草子』では、敬語の使い分け(敬意の方向)が非常に重要です。誰から誰に対する敬意なのかを明確にするトレーニングが必要です。
* 尊敬語(主語を高める): 「御覧ず(ご覧になる)」など。動作の主体である貴人(中宮様など)に敬意が払われています。
* 謙譲語(目的語や受け手を高める): 「まゐらす」など。作者や仕える女房側が、貴人に対して恭しく動作を行う際に用いられます。
* 敬意の方向の読み取り方: 誰がその動作を行っているか(主語)、誰に向かって行われているか(目的地・対象)を、会話の文脈や身分関係から論理的に導き出すことがテスト得点への近道です。
白居易の漢詩「南秦雪」との深い関係性と背景
『二月つごもりごろに』を深く理解する上で見逃せないのが、中国の白居易(白楽天)の漢詩『南秦雪』とのつながりです。清少納言は、この漢詩の教養を背景にして情景を切り取っています。
白居易の詩に詠まれた雪の情景と、日本の二月の末の寒々とした空模様、そして宮中での優美な知的空間が重なり合うことで、単なる天候の描写にとどまらない、教養に裏打ちされた洗練された美しさが表現されています。テストの記述問題では、「この描写に影響を与えた中国の詩人は誰か」や「その背景にある教養の深さについて説明せよ」といった設問が出ることがあるため、白居易の名前と『南秦雪』の典拠はセットで覚えておきましょう。
【二月つごもりごろに品詞分解】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:『二月つごもりごろに』の「つごもり」とは具体的にどういう意味ですか?
A1:「つごもり(晦)」は、月の末日、または月の下旬(月末の頃)を指す古語です。「二月つごもりごろに」で「旧暦2月の末頃に」という意味になります。
Q2:定期テストの品詞分解でウ音便(いたう、いみじう)が出た場合の対策は?
A2:ク活用・シク活用の形容詞の連用形(しく・しく・し・しき・しけれ・かれ、く・く・し・き・けれ・かれ)が、歴史的仮名遣いの変化によって「う」に音便化した形(例:いたく→いたう、いみじく→いみじう)であることを暗記し、もとの形容詞の終止形(いたし、いみじ)を即座に答えられるようにしておくことが重要です。
Q3:この段で描かれている清少納言の立場や状況は何ですか?
A3:中宮定子に仕える女房(宮仕えの女房)として、御帳の近くで文字を書くなどの実務を行っている最中に、ふと空を見上げて雪の様子に気づき、それを見た中宮様が格子を下ろして声をかけられるという、宮廷内の知的で風雅な日常の一コマが描かれています。
まとめ:定期テスト・受験で高得点を取るための判断基準と総仕上げ
『二月つごもりごろに』の学習において最も大切なのは、単に現代語訳を丸暗記するのではなく、「なぜその品詞分解になるのか」「誰から誰への敬語なのか」「背景にある中国文学の教養は何か」という本質的な文法・文学的アプローチを理解することです。
定期テストや模試で確実に得点するためには、以下の基準で学習を進めましょう。
* 基礎定着: 一文ずつの現代語訳と、主要な単語の品詞分解を自力で再現できるか。
* 文法応用: 音便(ウ音便)の識別、助動詞「む・らむ・じ」の意味の判別、係り結びの法則をミスなく解答できるか。
* 発展考察: 白居易の『南秦雪』との関連や、清少納言と中宮定子の関係性について記述式で説明できるか。
これらを一つずつクリアしていくことで、古文の読解力が飛躍的に向上し、どんな応用問題が出題されても自信を持って解答できるようになります。